不動産売却の必要書類は?準備するタイミングと入手方法を解説
不動産売却の流れは、大きく「売却前の事前準備」「買主との売買契約締結」「物件の決済・引渡し」に分けられます。
この記事では、不動産売却の必要書類をいつまでに準備すべきか、その書類の入手方法について解説します。
どんな書類が必要かお悩みでしたら、ぜひ参考になさってください。
不動産売却前の必要書類
不動産売却前には、不動産の詳細や個人情報を証明するさまざまな書類が必要です。
必要書類が不足している場合、売却手続きに支障が生じる可能性があります。
また、書類によっては平日にしか受け取れないものもあるため、計画的に準備することが重要です。
売却前の必要書類①:本人確認書類
不動産取引では、運転免許証、パスポート、またはマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です。
これらは不動産会社との媒介契約、買主との売買契約、そして決済・引渡しの際に使用されます。
売却前の必要書類②:登記済権利証・登記識別情報
登記済権利証は、不動産を取得した際に法務局から登記名義人に交付される書類で、所有者が登記名義人であることを証明するものです。
登記識別情報は、2005年に不動産登記法が改正された際に、新たに発行される書類です。
これらの書類があることで、不動産の所有者であることを確認できます。
また、不動産を買主名義に変更するときにも必要となります。
紛失した場合、法務局が本人確認のために郵送で問い合わせる「事前通知」を利用したり、司法書士に本人確認情報を提出してもらう方法も有効です。
売却前の必要書類③:建築確認済証・検査済証
建築確認済証は、建築基準法に基づいて物件が建築されていることを証明する書類です。
一方、検査済証は、建築検査に合格した後に発行される書類で、建物の構造が法律に準拠していることを確認します。
これらの書類は不動産を取得する際に受け取るもので、一般的には自宅で保管されています。
紛失した場合は、「建築計画概要書」や「建築確認台帳記載事項証明書」を、市区町村役場から有料で取得可能です。
また、不動産会社が発行を申請することも可能です。
売却前の必要書類④:土地測量図・境界確認書
土地測量図や境界確認書は、土地の面積や境界線の位置などを示す書類です。
土地や一戸建てを売却する際には、取引後のトラブルを避けるためにこれらの情報を明確にする必要があります。
代々受け継がれてきた土地や、測量がおこなわれていない場合、または測量時期が3年以上前の場合、精度が低くなる可能性があります。
そのため、隣地の所有者と話し合い、了承を得たうえで新たに測量図を作成することが重要です。
売却前の必要書類⑤:建物図面・間取り図
マンションや一戸建ての場合、建物図面や間取り図があれば不動産会社に提出なさってください。
不動産売却時には、一般的に不動産会社同士が物件情報を共有する「レインズ」に、外観写真や室内写真、築年数や所在地などの情報を掲載します。
建物図面や間取り図などの資料があると、宣伝資料を作成する際にスムーズです。
売却前の必要書類⑥:パンフレットなど
不動産を売却する際には、買主を募集するための広告を不動産会社に依頼する必要があります。
その際に必要となるのが、物件購入時に受け取ったパンフレットです。
このパンフレットには物件の概要だけでなく、設備の詳細や間取りなどが記載されており、これを提供することで、募集用の資料をスムーズに作成することができます。
売却前の必要書類⑦:耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書は、住宅の耐震性やアスベストの使用状況を証明した書類です。
これらは必ずしも必要な書類ではありませんが、築年数の古い不動産を売却する際に用意することで、買主にとって安心材料となります。
不動産契約締結時の必要書類
買主が見つかり、不動産を売却する際には、以下の書類が必要です。
買主と契約締結するときまでに必要書類を用意しましょう。
契約締結時の必要書類①:付帯設備表
付帯設備表は、不動産の引渡し時に設置されている設備の状況を記録した書類です。
給湯器やキッチン、洗面所などの設備の有無や不具合の状態が記載されています。
また、家具類のカーテンやテーブル、イスなどが付属する場合は、その不具合も一般的に記載されます。
売買契約時に設備表を基に設備の状態を買主に伝えることで、売却後のクレームを回避しやすくなるでしょう。
契約締結時の必要書類②:物件状況等報告書
物件状況等報告書は、売却する不動産の現在の状態を説明する書類です。
不動産を売却する際は、建物にシロアリ被害や雨漏りなどの欠陥がある場合、これを隠すことなく物件状況等報告書で告知しなければなりません。
不動産契約には契約不適合責任があり、「売主は引渡した不動産に瑕疵があった場合には、買主に対して責任を負わなければならない」と定められているからです。
物件状況等報告書は、契約不適合責任を問われないためにも、ありのままの状態を記載する必要があります。
契約締結時の必要書類③:実印
実印は、市区町村役場で登録した印鑑のことです。
売買契約や決済・引渡し時に必要となります。
不動産決済・引渡し時の必要書類
不動産売買契約が成立したら、次は決済・引渡しの段階です。
この時も、売主はさまざまな書類を用意する必要があります。
引渡しをスムーズに進めるためにも、必要書類を事前に確認しておきましょう。
決済・引渡し時の必要書類①:登記済権利証・登記識別情報
これは所有権移転に関連する書類で、売却前に用意される登記済権利証や登記識別情報ですが、引渡しの際にも必要になります。
決済・引渡し時の必要書類②:固定資産税納税通知書・評価証明書
固定資産税納税通知書は、固定資産税の支払い金額や評価額が明記された文書です。
この書類は、買主に固定資産税の額を説明する際や、未経過分の固定資産税を精算する際に必要となります。
売主が支払いを完了していても、後日日割り計算での精算がおこなわれることが一般的です。
固定資産税納税通知書は、所有者が1月1日時点で課税され、年に一度、通常は3?6月に自治体から送付されます。
通知書が紛失した場合は、固定資産評価証明書を市区町村役場で入手する方法や、不動産会社に手続きを委任する方法があります。
決済・引渡し時の必要書類③:実印・印鑑証明書
不動産の売買契約に使用される印鑑はすべて「実印」です。
そのため、実印に対する印鑑証明書が必要です。
この印鑑証明書は、不動産の所有権移転登記の際の添付書類として利用されます。
印鑑証明書は市区町村役場の窓口や、マイナンバーカードを持っていればコンビニでも入手できます。
ただし、有効期間は3か月なので、引渡し日が契約から3か月以上先の場合は、不動産会社の指示にしたがって取得しましょう。
決済・引渡し時の必要書類④:住民票
住民票は、登記簿に記載されている住所と実際の住所が異なる場合にのみ必要となります。
印鑑証明書と登記簿に記載されている住所が一致していないと、司法書士が本人確認できなくなることが理由です。
住民票の取得は市区町村役場でおこなえます。
なお、有効期限は印鑑証明書と同様に3か月です。
決済・引渡し時の必要書類⑤:抵当権抹消書類
抵当権は、住宅ローンを提供する金融機関が、購入する不動産を担保とする権利です。
住宅ローンを完済しても、抵当権は自動的には消滅しないため、決済時に司法書士によって抵当権の抹消手続きが必要です。
抵当権が抹消されなければ、不動産の売却はできません。
金融機関が抵当権抹消に必要な書類を準備するには、通常10営業日ほどの時間がかかります。
したがって、決済・引渡しの日が決まったら、速やかに金融機関に連絡して必要な手続きを進めることが重要です。
まとめ
不動産を売却するには、多くの書類が必要です。
これらの書類の入手には時間がかかることもありますし、役所で取得する必要があるものもあります。
売却をスムーズに進めるためには、売却を検討し始めたら、必要書類が揃っているかどうかを確認し、少しずつ準備を始めることが重要です。